2021年の初め、岐阜県にある地方競馬場である笠松競馬場で起こった不祥事が、世間を震撼させました。
- レースの八百長で多数の騎手調教師が追放
- 調教師によるセクハラ
- 騎手調教師による馬券の不正購入や所得税の申告漏れ
これによって笠松競馬は開催を自粛。
このあまりにセンセーショナルな出来事は、多くの競馬ファンを失望させました。
そんな笠松競馬場が、2021年の9月に問題をクリアにして開催を無観客で再開。
翌10月には観客を入れての開催を再開し、新たなスタートを切ったのです。
そんな不祥事があった笠松競馬ですが、以前と変わることなく
- 食べ物が美味しい
- アクセスが良い
- 馬との距離が近い
など、魅力的な競馬場であることに変わりはありません。
今回の記事ではそんな笠松競馬場の魅力をリポートします。
是非読んでみてください。
目次
笠松競馬場 どういった競馬場なのか?
1935年に、現在の岐阜県中津川市にあった中津競馬場をこの地に移転したのが、笠松競馬場の始まりです。
名馬、名手の里、ドリームスタジアム
という愛称が付くように、笠松競馬場は上の写真にあるオグリキャップをはじめ、数々のスターホースが笠松からデビューし全国区のスターになりました。
先述したオグリキャップをはじめ、
- ライデンリーダー
- オグリローマン
- レジェンドハンター
- フェードノーザン
- マックスフリート
- ミツアキサイレンス
- ミツアキタービン
- ラブミーチャン
といった数々の名馬を輩出しています。
また、数多くの名手と呼ばれる騎手も、笠松競馬場から数多く輩出しました。
代表的な存在が、日本で最初に地方競馬から中央競馬への移籍を果たした安藤勝己、同じく中央競馬への移籍を果たした勝己騎手の兄の安藤光彰と柴山雄一、他にも濱口勝彦や川原正一、東川公則といった名手を輩出しています。
売り上げの減少による廃止危機や、最初に取り上げた不祥事など、様々な問題を抱えてきましたが、なんとか乗り越えて笠松競馬場は現在も存続中です。
笠松競馬場 アクセスの紹介
笠松競馬場へ行くには、名鉄線を利用するのが便利です。
名鉄名古屋駅から岐阜行きの特急電車に乗って約25分、名鉄岐阜駅から同じく特急で約5分で笠松駅で下車。
そこから歩いて徒歩3分で到着するので、交通の便はかなり良いです。
新幹線の岐阜羽島駅から名鉄羽島線に乗っても、20分ほどで笠松駅に着きます。ただ、羽島線の本数が少ないので、名古屋駅から行くほうがいいかも。
笠松駅を出たら、左手に見えるこちらの線路下の地下道を潜り、反対側に出たら右に曲がって通路を進み、土手を登ったら競馬場の入口が見えてきます。
笠松競馬場アクセス 車窓から見える笠松競馬場
名鉄名古屋線で笠松を訪れる際は、決して見逃してはいけない光景があります。
笠松駅に到着の寸前に、電車は木曽川の橋を通過。
その際、必ず車窓右手の席を確保してください!
橋を渡り終えると、右手車窓に笠松競馬場が姿を現します。
競馬好きにとっては、胸が躍る瞬間です。
電車の中から、競走馬とスタンドで競馬を見るお客さんがはっきりと見えました。
名鉄電車が競馬場の真横を走っているからこそ、このような光景が観れるのです。
川を渡り切る寸前に、突如大きな競馬場が現れるこの景色は中々の爽快感で、競馬ファンの中にはこの風景を見るのが楽しみで、笠松にやって来る人も多いとのこと。
スタンドから名鉄電車を眺めた景色がこちら。
タイミングが合えば、車内から馬が走っているのを見れたり、スタンドから馬と電車が併走して走る光景が見れます。
笠松競馬場 施設の紹介
ここからは、笠松競馬場の施設を紹介していきます。
年季が入ってかなりボロい、いや味のある施設です(笑)。
河川敷にあるということで敷地そのものも狭いですが、見所はたくさんありますので、1つずつ紹介していきましょう。
笠松競馬場 スタンドの紹介
笠松競馬場のスタンドは、全部で3つあります。
ここでは、そのスタンドの特徴を1つ1つ紹介していきましょう。
最初に紹介するのは、ゴール前の東スタンドです。
ゴール前にあるということで、多くのファンがラストの攻防を見にここに押し寄せます。
反対側はこのような感じ。
ご覧のように年季の入った建物です。
お次は中央スタンドです。
スタンドを見た瞬間、誰もが「えーーーー!!」と思わず声を出してしまいそうなくらいのボロスタンドですね。
太くて無骨な柱が4本あり、見事にレースを見る邪魔をしています。
椅子の座り心地は良かったのですが、錆付き具合がとにかく酷かったですね。
で、こちらがスタンド内の光景です。
スタンド内はもう電気も消えて機能してなく、廃墟のような状態。
外の賑わいが嘘のような静けさです。
もうもぬけの空になってますが、扉にまだ残されている「競馬場喫茶部」の文字が不気味でした。
まさに、昭和レトロと言うにふさわしい光景です。
最後に紹介するのは、西スタンドです。
ゴールからは遠いですが、レース最後の直線の攻防を見たいなら、こちらのスタンドがベストと言えます。
個人的には、写真右のところにある階段の踊り場のようなところで見るのがおすすめです。
高さもちょうど良くて、向正面の攻防もはっきりと見えて、僕にとってはベストスポットでした。
笠松競馬場 指定席
笠松競馬場には、2種類の有料指定席がありました。
ゴール前にあるこちらの指定席は、ユーホール(500円)という席です。
席は自由席で、早いもの勝ちになっています。
スタンドの3階には、このようなユーホールの入口があります。
入場の際には、左の券売機でチケットを購入して、窓口にいるおばさまにチケットを見せましょう。
このとき半券を渡されるので、再入場時に必要となります。
こちらがユーホールの中です。
はっきり言って、時間が昭和のままで止まったような雰囲気でした。
とはいえ、座席は全面ガラス張りで雨の日でも快適に観戦ができます。
パドックもちょうど良い目線で見れるので、食事以外外に出ないでここに滞在するのも全然ありです。
ただ最大の難点は、椅子がボロいことです。
肘掛け部分は、何回も修繕されたのかかなりボロボロでした。
テーブルもありますが小さく、あまり使いやすいとはお世辞にも言えませんので、そのつもりで。
かつて、この場所で営業していたであろう食堂がそのまま放置されているなど、管理体制は良いとは言えません。
ただ室内で快適に過ごしたいなら、おすすめです。
4コーナー近くの西スタンドにあるのは、特別観覧席(600円)。
2人1組で座れるシートに、モニターが付いていて快適な作りになっています。
どちらもガラス張りなので、暑さ寒さを凌ぎたい方には最適な席です。
価格もお手頃なので、年末などの観客の多い時期にはすぐに売り切れてしまうので、朝から早めに並んで手に入れるようにしましょう。
笠松競馬場 本馬場の紹介
笠松競馬場の本馬場は、河川敷の中の限られた敷地を利用しているので、コースは1周1100mと、かなり狭いです。
スタンドでレースを見ていても、向正面を走る馬のゼッケン番号もはっきりと見えるくらいの狭さでした。
向正面は、木曽川の土手が目の前にあって、土手から無料でレースを見学することもできます。
スタンドとコースの距離は、とてつもなく近いです。
地方競馬の中でも、これだけ近い距離でレースを見れる競馬場は他にありません。
かぶりつきで見ると、こんな感じです。
本当に馬が間近に見れて、騎手が話す声もはっきりと聞こえます。
思い思いの場所で、迫力あるレースを体感しましょう。
笠松競馬場本馬場 パドックの造り
笠松競馬場のパドックは、他の競馬場とはかなり違った造りになっています。
通常スタンドの裏にあって、観客の間近に馬を見れるというのがパドックなんですが、笠松競馬場ではこのようにコースの内側にパドックがあるのです。
なぜこうなったのかというと、河川敷の限られた敷地を使用しているので、スタンド裏に建設するのが難しくなってしまったためです。
そのため観客は、スタンドから遠目で馬を見つめています。
しかし、スタンドの椅子に座りながら動くこと無く馬を見れるメリットもあるので、パドックのいちに不満を持っている人はあまり多くありません。
騎手は1、2コーナーからパドックまで伸びている通路(馬もここを歩いてパドックに向かう)をマイクロバスに乗って、パドックに向かい、馬に乗って本馬場へ入場します。
笠松競馬場 内馬場には何が?
笠松競馬場の内馬場には、一面の畑と田んぼが広がっています。
この日はいませんでしたが、開催中でも普通に人が入ってきて、畑仕事をしているという中々シュールな光景が見れる面白い競馬場です。
さらにこちらには、肉眼では確認しづらいですがお墓もあるかなりカオスな雰囲気でした。
これらの土地は、個人所有の土地で競馬場とは全く関係ありません。
実はかつて競馬場側が内馬場の土地を買収しようと思ったが、馬券の売り上げ減の影響で上手くいかず、現在でも競馬場の敷地の90%が今でも借地なのです。
こうした事から地主と競馬場は、長い事土地の借地料に関して色々争っていたとのこと。(現在は、とりあえず和解したみたいです)
とにもかくにも、世界でも珍しいスタイルの競馬場です。
笠松競馬場 馬券売り場
こちらは西スタンド内にある馬券売り場です。
上部には無数のスクリーンがあって、レース映像やオッズ(配当金)の情報を提供しています。
競馬開催時以外でも場外馬券売り場として、他会場のレース映像やオッズ情報が写し出されているので、馬券好きな人はここに1日中たむろしているのです。
基本競馬開催日も非開催日も馬券を販売していて、主に名古屋競馬、園田競馬、佐賀競馬、金沢競馬、南関東競馬のレースを発売。
また週末には、「JーPLACE」というJRA(日本中央競馬)の場外馬券売り場になり、JRAで開催される全レースの馬券を販売しているので、大レースの際には多くの人で盛り上がりを見せます。
馬券売り場の天井には、このようにヒーターが完備されていました。
冬に訪れる際には、冷え込みの厳しい日も多いので、このような設備は大変ありがたいです。
笠松競馬場 おすすめグルメの紹介
続いては、皆が気になるグルメを紹介していきましょう。
笠松競馬場で売っている飲食物は、どれも格安で美味しいです。
中央スタンドと東スタンドの間のところで営業していて、この日は3件が営業していました。
3件とも、売っているものはほとんど変わりません。
早速、どんな物が売っているのか見に行ってみましょう。
焼きそばが400円、串カツ1本100円、唐揚げ、どて煮が1串100円と、かなり財布に優しい価格設定になっていますね。
店頭には味噌だれの中で、おでんとどて煮が美味しそうに煮込まれていました。
横では串カツを揚げる音が食欲をそそります。
ちなみに、おでんも全て1串100円です。
というわけで、串カツとどて煮を購入してみました。
これで300円ですから、大変コスパに優れた食べ物です。
串カツは衣が厚くて、肉も柔らかいので食べやすく、一度食べたら何本でもいけてしまう美味しさでした。
ソースは普通のソースと、名古屋風の味噌ソースの2つから選べ、名古屋の味噌味をお手頃な値段で味わえるので必見です。
この串カツを食べたいために、笠松競馬場や名古屋競馬場を訪れる人は多いです。
他にも、お酒のつまみに最適な焼き鳥やキモ焼き、とんちゃん焼きや、1つ200円の当たり餅なるものも売ってました。
他にも店の奥には食堂もあって、カレーやうどんや定食を味わえます。(テイクアウトもOK)
お店の皆さんはとても気さくで、僕の写真撮影にも笑顔で対処してくれるとても良い方達でした。
デザートにおすすめなのは、こちらの大判焼きです。
こちらも価格は100円と激安。
甘さ控えめのあんこで、とても食べやすかったです。
笠松競馬場 厩舎までの馬専用道
笠松競馬場は河川敷にあるので、馬が住む厩舎を建てる土地がありません。
なので馬達は、調教やレースのために競馬場から徒歩20分ほど離れた厩舎地区の間を歩いて行き来します。
競馬場が左下にあって、東海道線の線路の横の赤い印の部分が、笠松競馬場の馬や関係者が暮らす厩舎群です。
こうして地図で見ると、ずいぶん遠く感じますね。
厩舎と競馬場の間の道には、専用道が設けられていて、競馬開催中は人がそこを通ることはできません。
写真は、競馬場の入口から出てすぐのところにある土手を下るための坂道です。
競馬開催日や調教のある朝には、4人ほど警備員が立っていて馬が通るたびに交通整理を行っています。
乗用車が止まる前を馬が通過するという、なんとも不思議な光景を見れるので面白いです。
横断歩道の近くには、このように「馬に注意」という中々見れない道路標識もあります。
横断歩道を渡り終えた後、馬と厩務員さんはこのように住宅の横を歩きます。
普通の住宅の横を、馬もごく当たり前のように暴れることなく歩いていました。
何回も往復しているので、馬もわかっているんでしょうね。
やがて、馬は慣れた感じで専用道の中に入っていきました。
見学は自由ですが、馬は繊細な生き物なので物音を聴くと驚く馬もいます。
馬を引いてる厩務員さんや、周辺の家に迷惑がかかるので、見学や撮影の際は静かに、馬から離れて見学しましょう!
(実際、昔車とぶつかったり逃げ出したりと、過去にトラブルは何回かありました)
曲がり角を曲がる際は、一旦一般道に出て、再び専用道に入っていきます。
このような曲がり角には、警備員さんが立っていて、事故が起こらないように1日中見張っているのです。
雨の日も風の日も、こうやって安全を守ってくれる人がいるおかげで、競馬開催ができるんですね。
いや本当にありがたいことです。
このように、笠松競馬場は普段中々近くで見れない競走馬を近い距離から見ることができます。
一説によると、厩舎と競馬場の間を毎日歩いて往復して鍛えられたおかげで、多くの名馬が誕生したのでは?とも言われているようです。
本当のことはどうかわかりませんが、かなり長い道のりだったので、馬にとって良いトレーニングになることは間違い無いですね。
まとめ
長々と書いてきましたが、今回は岐阜県の地方競馬場、笠松競馬場について施設などを紹介してきました。
平日には地方競馬、週末には中央競馬の馬券が買えて、名古屋からも名鉄の特急で直接アクセスできる大変便利な競馬場です。
安くて美味しいグルメも豊富で、馬との距離も近いので、初めて競馬場を訪れるにはベストの競馬場と言えます。
色々不祥事はありましたが、再生に向かって前に進んでいる笠松競馬場。
近くまで行ったら、ぜひ足を運んでみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。