【ちょっとした廃墟?】かつての成田空港駅東成田駅を散策してみました

航空機

日本を代表する国際空港として、誰もがその名を知る成田国際空港。

1992年に空港第2ビルが開港されて以来、成田空港の駅は

  • 空港第2ビル駅
  • 空港第1ビル駅

と2つの最寄り駅がすっかり定着している昨今。

そんな成田空港の駅ですが、第2ターミナルが完成する前は成田空港の駅は今とは別のところにあったのをご存知でしょうか?

それが、今回紹介する東成田駅です。

かつてはこの駅が「成田空港」駅という名前で、成田空港の開港から10数年間は空港の最寄り駅として、多くの観光客で賑わっていました。

しかし今では、ちょっと不気味で廃墟のような雰囲気のある駅になっています。

東成田駅はこのように秘境駅などとネタとしてイジられたり、「日本一短い鉄道」との愛称で親しまれている芝山鉄道の起点駅として、そこそこ重要な役割を果たしています。

というわけで今回は、そんな東成田駅を散策してみました。

東成田駅を発着する芝山鉄道についてもまとめましたので、ぜひ訪れる際の参考にしてください。

 

 

 

芝山鉄道の簡単な歴史

 

芝山鉄道とは、千葉県の成田市と山武郡芝山町を結んでいる第3セクターの路線です。

しかしこの路線、運行距離が

東成田駅〜芝山千代田駅

のわずか1駅間(2.2km)だけという短い路線であることから、

「日本一短い鉄道」

という愛称が付けられている鉄道です。

ひろたか
ひろたか

芝山鉄道は独自の車両は持っておらず、上の写真のように京成電車の車両をそのまま使用しています。

芝山鉄道の会社設立は1981年ですが、当時の運輸省に工事の認可をされたのはその9年後の1990年。
そして開通したのは2002年と、開業までかなりの時間を要しました。

この路線は元々、成田空港の建設によって交通が分断してしまって不便を被ってしまう芝山町の住民の補償の為に作られた鉄道路線なのです。

しかし、建設工事をするにあたって空港反対派の地権者との話し合いが長期化したり、運転計画に関する国と千葉県の話し合いが長期化するなど、色々開通するにはかなりの時間がかかってしまいました。

こうして、計画から12年かけて開通した芝山鉄道。

ただ現状は、成田空港の関連施設の横を通っている関係で、成田空港の職員の通勤用としての利用が大半を占めています。

なので、通勤時間帯を除いた日中は利用客が少ないのが現状です。

将来的には

  • 山武町
  • 横芝光町

に延伸する計画があるようですが、未だ実現には至っていません。

これからどうなるか、注目していきたいですね。

 

芝山鉄道 東成田駅

 

芝山鉄道や、成田空港の歴史を語る上で欠かすことができないのが、これから紹介する東成田駅です。

第1ターミナルから500mほど離れたこちらの場所にあり、第2ターミナル完成以前は「成田空港駅」という名前で京成本線の終着駅でした。

当時の空港利用者はスーツケースを引きながら、駅前から運行するシャトルバスに乗って現在の第1ターミナルを目指すという感じで、なんとも不便なアクセスだったようです。

第2ターミナル完成後に「東成田駅」に改名後はかつての賑わいも無くなり、現在は空港で働く職員が通勤の為にこの駅を使用する程度となりました。

ひろたか
ひろたか

日中は静かですが、朝夕の東成田駅はかなり混在します

現在では、成田空港の利用者にもその存在を忘れられた存在になりつつある東成田駅。

しかしこの駅には、昔の成田空港駅を思い出す様々な痕跡が残っていました。

東成田駅への行き方

 

まずは、東成田駅への行き方を紹介しましょう。

京成電鉄の京成成田駅から「芝山千代田」行きの電車に乗っていくのが一番簡単なアクセスですが、成田空港第2ターミナルから地下通路を通じてアクセスも可能です。

京成線の「空港第2ターミナル」駅の改札を出たすぐそこに、東成田駅へ通じる地下通路の入り口があります。

「日本一短い鉄道・芝山鉄道」

とわざわざご丁寧に表記されているこの地下通路を辿っていけば、東成田駅へ行くことが可能です。

 

しかし、この地下通路は写真のように、気の遠くなる長さとなっています。

おまけにこの通路を歩く人はほぼ皆無なので、不気味なくらい静かな雰囲気です。

あまりにも静かなので、

ひろたか
ひろたか

本当にここ成田空港?

と思わず不安な気持ちになってしまうのは確実でしょう。

 

地下道内は時々横に芝山町を紹介するポスターが貼られているくらいで、本当に何もありません。

すれ違う人もほとんどいないので、誰かとすれ違う機会があったらかなりレアケースで怖いです。

東成田駅構内

 

長い地下通路を通った後にたどり着くのが、こちらの東成田駅です。

利用客は少ないですが、駅員は必ず常駐しています。
これは、空港敷地内の駅ということで、警備上の理由と言われているそうです。

 

こちらが駅の構内です。

とにかく人がいません!
床や壁のタイルや天井がいかにも古い造りで、1978年の開港以来姿を変えずに現在も残っていることがよくわかりますね。

整備場が近いことから、日中でも空港関係者らしき人が姿を見せています。

 

駅構内の中には、所々に往年の成田空港駅の面影が残っていました。

この立派なレリーフは「曲水の宴」という作品で、1980年からこの場所にあります。
曲水の宴とは、平安時代に貴族の間で流行った遊びのことです。

40年以上前の作品とは思えないほど綺麗で、大切に保存され続けていたことがよくわかりますね。

 

 

構内を見渡すと、何やら後からできた壁のようなものが確認できました。

 

 

中を覗いてみると、何かがカバーで囲まれたていたり、シルバーに光る何かが見えました。
おそらくこの場所は、かつてスカイライナーに乗車する際の改札口だったのかもしれませんね。

カバーに囲まれた場所では、お土産か何かを売っていたのでしょうか?

 

 

別のところを覗いて見たら、そこは現在では使用されていないスペースが広がっていました。
かつては唯一の空港アクセス駅ということで、もっと広い駅だったんですね。

しかし東成田駅になってからは利用客が減少したことで、必要無いスペースはこのように壁を建てて入れないようにしてしまった、と推測されます。

 

壁には、成田空港駅時代の貴重な写真を見ることができました。

 

東成田駅 出入り口

 

こちらは、東成田駅の出入り口です。

現在は利用客も少ないため、左右のエスカレーターは完全にストップした状態になってました。

そして階段の上の方を見てみると、微かに消えかかっている広告が。
じっくり見てみると、「手軽で安全 スピード配送 海外ペリカン便ジェットパック 日通航空」と書かれています。

今は日本郵便に事業譲渡されたペリカン便の名前が、今でもここに残っていました。

東成田駅 駅舎

 

先程紹介した階段を登っていくと、外へ出ることができます。

成田空港の敷地内に、ポツンと置かれた地下道の入口のような地道な造りの駅です。
ただ、元々成田空港駅だったということで、入口は若干広めに造られていました。

扉などから開業当時とほぼ変わってないような印象を受けたので、当時どんな感じだったのかな?と色々想像してみるのも楽しいかもしれません。

 

 

駅の外には、JALのオフィスがあったり空港関係者らしき人が歩いていたりしていましたが、一般の人向けの見どころは特に何もありません。

駅前には第1ターミナルまで徒歩10分で行けると案内されてましたが、外から行っても歩道が整備されていないので、駅周辺の道路を歩くのはほぼ不可能に近いです。

つまり、用が無いなら行く意味はない駅ということになります。

東成田駅 ホーム

 

続いて、改札を通過して東成田駅のホームを見に行ってみましょう。
誰もいないし薄暗いので、なんだか不気味な雰囲気が漂っています。

 

 

こちらが、東成田駅のホームです。

島式のホームが1本あるだけの駅で、ホームには自販機もあります。
ただ、基本的には不気味なくらいに静まりかえっている駅です。

実はこのホームの隣には、もう一つ現在では使用されて無いホームがあります。

 

それがこちらです。

このホームは、かつて旧成田空港駅時代に使用されていたホームで、スカイライナーを利用する多くの乗客が当時このホームから降りて空港に向かっていました。

東成田駅に改称されたと同時に、このホームは使用されなくなりましたが、現在でも当時の面影を残すということで30年近く前と変わらない姿で保存されています。

壁にある広告も当時のままで、写真にある京成上野駅の地下駐車場の広告の他に、現在はAIG損保という名前になった富士火災の広告など、30年前の広告も変わらずに残っていました。

 

暗くて少しわかりづらいですが、駅名表記も当時の「成田空港」駅の表記のままです。

下には、「次は成田」と書かれていました。
当時はまだ成田スカイアクセス線が無かったので、津田沼や船橋と京成本線を通って日暮里や京成上野に行っていましたね。

まさに時が止まったかのようになっています。

実はこのホーム、普段は当然立ち入り禁止となっていますが、毎年1回不定期に一般公開されているとのこと。

入場は事前応募となっていますが、その競争率はかなりのものだそうです。

東成田駅はその場所柄「秘境駅」として鉄道ファンから愛されているので、競争率が高いのも当然なのかもしれませんね。

電車が来たので、試しに「芝山千代田」駅に行ってみることにしました。

さて東成田から今度は「芝山千代田」行き電車に乗って、「芝山千代田」駅を目指してみましょう。

東成田駅にやってくる電車は、日中は20分〜1時間おきの運行で、東成田〜芝山千代田駅間の運賃は200円、京成成田〜芝山千代田駅間は460円です。

芝山鉄道 芝山千代田駅

 

東成田駅を発車した電車は、すぐに地上に出ていくつもの飛行機を車窓右手に眺めながら、終点である芝山千代田駅に到着します。

こちらが、「日本一短い鉄道」の芝山鉄道の終点、芝山千代田駅です。

単線でホームが1本の小さな終着駅でした。

 

駅のホームからは、成田空港に駐機している飛行機を眺めることができます。
第1ターミナルの近くということで、ANAの飛行機やお金持ちが所有してるであろう自家用ジェット機などが見えました。

駅周辺には、成田空港の関連会社が多く点在しています。

 

こちらは、芝山千代田駅の改札口です。

改札前には埴輪(はにわ)の像がありました。
どうやら芝山町は、埴輪がよく出土することから、「埴輪の町」として有名だそうです。

芝山千代田駅を利用時の注意

もし芝山千代田駅を利用する際には、SUICAやPASMOなどの交通系ICカードが使用できませんので注意してください。

実は東成田駅〜芝山千代田駅間は、ICカードに対応していません。

なので芝山千代田駅へ行くには、必ず自販機で紙の切符を購入して乗車するようにしましょう。

ただ、東成田駅へ行く場合にはICカードを使用しても問題ありません。
なぜなら、京成成田〜東成田間は京成電鉄の東成田線という路線で、京成電鉄の線路となっているからです。

利用する際には十分に気をつけましょう。

芝山千代田駅の周辺

この地図を見ればわかるように、駅周辺は芝山鉄道の本社や空港関連の工場が中心となっています。

駅前にはJRバス関東のバスが発着していて、成田空港のターミナルや航空科学博物館、三里塚や匝瑳(そうさ)市や山武市へ行ける路線バスに乗り換えることも可能です。

そして芝山千代田駅から徒歩5分のところには、「成田空港温泉 空の湯」という温泉施設があります。

天然温泉や岩盤浴の他に、カプセルホテルも完備しているので、旅行の前泊にも利用できるこちらの施設。

成田空港の各ターミナルから無料シャトルバスも運行しているので、到着後にのんびりするのもおすすめです。

成田空港温泉 空の湯は午前11時から温泉に入浴可能です(2023年1月現在)。
シャトルバスも午前10時頃からの運行になりますので、早朝便で帰国した場合はシャトルバス出発まで待つ必要があるので注意(2023年1月現在、朝風呂は休止中)。

まとめ

今回は、「日本一短い鉄道」の異名を持つ芝山鉄道の

  • 東成田駅
  • 芝山千代田駅

を紹介してきました。

成田空港の歴史と深い関わりのある芝山鉄道。

特に、かつての成田空港駅だった東成田駅では昔スカイライナーが発着していたホームが見れたり、「秘境駅」と呼ばれ鉄道ファンの間からも親しまれています。

成田空港第2ターミナルから直接地下通路を通って行くことができますので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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