愛知県犬山市の木曽川のほとりには、日本に5つしかない国宝の城として知られる犬山城があります。
日本に現存する天守閣の中で最古の歴史を持つ犬山城は、最上階から木曽川の美しい眺めが評判で、連日多くの見学客が訪れる城です。
犬山城の天守閣は、外を展望できる廻縁(まわりえん)の足元が斜めを向いていて、かつ滑りやすい木目になっています。
なのに安全を守る手すりが低く設定され、油断したら落ちるのでは?というちょっとした恐怖を感じられる天守閣です。
そのため、「高いところが苦手な人はゆっくり景色を楽しめないのでは?」と思った人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、犬山城の天守閣から見える景色と城の見どころを紹介します。
犬山城を楽しく散策したいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
犬山城へのアクセス
国宝として知られる犬山城は、名鉄犬山線の犬山駅から徒歩20分です。
犬山駅からは少し距離があるので、早めに天守閣に到着したいと思ったら、犬山駅の1つ先の犬山遊園駅で下車してください。
犬山遊園駅には、犬山駅と同様に全ての電車が停車します。
犬山遊園駅から犬山城までは、徒歩15分で到着可能です。
犬山遊園駅からは、木曽川と山の上にそびえ立つ犬山城が見えますので、記念撮影を忘れないようにしましょう。
城下町を散策したいなら犬山駅、直接犬山城へ行くなら犬山遊園駅からアクセスするのがおすすめです。
毎週日曜の朝には、犬山城まで続く木曽川遊歩道で犬山朝市が開催されます。地元産の野菜やコーヒーや焼き菓子など、約30店のお店で賑わう犬山市を代表するイベントです。
犬山城天守閣
国宝として知られる犬山城は、1537年に織田信長の叔父である織田信康によって築城された城です。
現存する日本最古の木造天守を持つ城として知られ、通称「白帝城」と呼ばれています。
犬山城は築城して明治時代に廃城となるまで、城主が目まぐるしく入れ替わってきました。
1547年 |
織田信康の死去後、息子の織田信清が城主となる。
織田信長に反抗したことで信長の家臣だった池田恒興が城主に。 |
1584年 |
小牧・長久手合戦で豊臣秀吉が犬山城に入城し、小牧城に陣取った徳川家康と睨み合いを続ける。 |
1617年 |
尾張藩付家老の成瀬正成(まさなり)が城主になって以降、犬山城は成瀬家が所有する城になる。 |
1873年 |
廃藩置県の影響により、犬山城の廃城が決定。 |
1891年 |
濃尾地震が発生して城が倒壊。その後成瀬家と犬山市民によって復興を遂げる。 |
1952年 |
犬山城が国宝に指定される。 |
2004年 |
成瀬家が犬山城を手放す。 |
犬山城は長きに渡って成瀬氏の一族に所有され、2004年に手放すまで個人所有の国宝の城として有名でした。
現在は愛知県を代表するスポットとして、季節を問わず観光客が訪れます。
天守閣への入場料
こちらが、犬山城天守閣への入場料です。
天守閣のみの入場 |
大人(高校生以上):550円
小中学生:110円 |
天守閣+日本庭園有楽苑 |
高校生以上 1,450円 |
天守閣+日本モンキーパーク |
高校生以上 1,400円
小中学生:510円 |
天守閣+明治村 |
大人:2,850円
高校生:1,900円
小中学生:750円 |
天守閣+リトルワールド |
大人(大学生以上):2,550円
小中学生:1,100円 |
天守閣+城下町周遊券(犬山市文化史料館)+どんでん館 |
高校生以上:760円 |
チケットは犬山城前のチケットカウンターで購入可能です。
セット券の有効期限は、天守閣+日本庭園有楽苑が購入から2日、テーマパークとのセット券は購入から2か月間の有効期限があります。
犬山城天守閣内部
チケットを購入したら城内に入場し、天守閣のある最上階まで登って行きます。
天守閣へ登るには、写真のような急な階段を登っていかなければなりません。
かなり急な階段で、もはやはしごです。
安全のため警備員さんが常駐していますので、慌てずゆっくり登りましょう。
犬山城の中には、成瀬家伝来の古文書や甲冑が展示してあります。
貴重な展示物から、犬山城の歴史を学べます。
犬山城天守閣からの景色
急な階段を登り続けていけば、美しい景色を見渡せる天守閣に辿りつきます。
天守閣からは雄大な景色を見渡せますが、展望台は柵が短く足元が少し斜めになっているため、滑りやすく落ちそうになるくらいスリルがあります。
なので初めて訪れる人や高い場所が苦手な人は、ちょっとした恐怖を感じてしまうかもしれません。
天守閣からは、岐阜県を代表する山々など自然あふれる光景が見られます。
ここからは、方角別に天守閣から見える景色を解説していきましょう。
犬山城天守閣から見える景色 西
天守閣から西の方角からは、木曽川の美しい景色が見られます。
手前にあるダムのような大きな橋は、濃尾用水の可動堰としても使用されているライン大橋です。
ライン大橋の名前の由来は、地理学者の志賀重昂(しげたか)が、
「この風景はドイツのライン川に似ている」
と評したことで呼ばれました。
2013年までは「日本ライン下り」という犬山から美濃太田までの川下りが運行されていて、木曽川を代表する観光名所として人気がありました。
その奥には、「夕暮れ富士」の愛称で知られる伊木山があります。
私は実際のライン川を見ましたが、川の広さと周辺の環境は似ていると感じました。
犬山城天守閣から見える景色 南
天守閣の南側からは、犬山市街地の景色を一望できます。
写真右側にあるカブトをモチーフにした屋根の建物は、犬山市文化史料館です。
「城とまちミュージアム」という別名があり、犬山の歴史や文化を紹介しています。
江戸・昭和・平成の犬山城に実際に取り付けられていたシャチホコも展示されていて、間近で撮影可能です。
晴れた日には、名古屋市にあるJRセントラルタワーが見える時もあります。
犬山城天守閣から見える景色 北
北の方角から見えるのは、木曽川上流方面の景色です。
天気の良い日には、左の奥に長野県と岐阜県の県境にある御嶽山を見られます。
写真手前にある、木曽川に掛かる大きな橋は犬山橋です。
犬山橋は2000年まで、名鉄電車と乗用車が共有で使用していた、全国でも珍しい橋でした。
車が走る横を名鉄電車がゆっくり走行する光景の珍しさが評判を呼び、犬山橋は長い間鉄道ファンに愛され続けた聖地として知られています。
しかし道路の交通量の増加が理由となり、2000年に名鉄専用の橋が新たに開通しました。
自動車用の橋も整備され、現在は電車そして車共にスムーズに移動できます。
犬山城天守閣から見える景色 東
最後に紹介するのは、東側の景色です。
かつては名鉄犬山ホテルと呼ばれる老舗ホテルがありましたが、老朽化を理由に2019年に閉館されて、現在の姿に生まれ変わっています。
ホテルの横には、有楽苑という四季折々の風情が楽しめる庭園があります。
美しい日本庭園を持つ有楽苑は、重要文化財に指定された「旧正伝院書院」や、国宝茶室「如庵」がある犬山市を代表する観光名所の1つです。
山の上には、日本モンキーパークの大観覧車が見えました。
犬山城下町の風景
犬山城の前には、お土産店やミュージアムなどが軒を連ねる城下町風のストリートがあります。
名鉄犬山駅から徒歩6分の位置にあるこちらのストリートは、江戸時代の犬山の街を忠実に再現しています。
犬山城が創建された後に整備された城下町は、鍛冶屋や魚屋など商人の街として賑わったそうです。
古い建物をリノベーションしたスイーツ専門のカフェや、以前NHK朝ドラ「半分、青い」で話題になった五平餅も売られています。
城下町に若者向けの店が急増したことで、現在では季節を問わず多くの観光客が訪れるようになりました。
犬山城に向かう前に、じっくり腹ごしらえしていきましょう。
針綱神社
針綱神社は織田信長の叔父である織田信康ゆかりの神社として、1537年に創建されました。
針綱神社は犬山城の天守閣の切符売り場に向かう際の通り道にあるので、天守閣の見学前にお参りしましょう。
縁結びや恋愛成就のご利益があることで知られるため、カップルの参拝者が多いことでも有名です。
他にも七五三のお参りや、安産祈願のご利益もあります。
三光稲荷神社
三光稲荷神社は、犬山城を所有していた成瀬氏の守護神として創建された神社で、金運アップや縁結びにご利益がある神社として親しまれています。
犬山城天守閣から犬山城前広場に向かい下ったところにある神社なので、天守閣を見学した後に参拝するのがおすすめです。
針綱神社と同様に縁結びの利益がある神社で、中でもハートの絵馬は人気です。
絵馬はピンク色で、インスタ映えする可愛い絵馬として注目を浴び、一時期メディアで話題になりました。
他にも、銭洗いやおもかる石もパワースポットとして人気です。
銭洗いは、ザルにお金を入れて境内の御神水で洗うと金運に恵まれるとされています。
おもかる石とは、目を閉じて石の前に立って願いを頭に浮かべながら石を持ち上げて、軽いと感じたら願いが叶うとされる石です。
少しでも運気を上げたいと思ったら、必ずお参りしていきましょう。
犬山城の天守閣からは、絶景が楽しめる!
今回の記事では、国宝として知られる愛知県の犬山城の天守閣について解説しました。
犬山城の天守閣からは、木曽川や濃尾平野、御嶽山や伊吹山など素晴らしい景色が見られます。
天守閣の展望台は足元が少し斜めなので、高いところが苦手な人にはかなりスリルを感じる場所です。
犬山城周辺には城下町や博物館など、見どころも多く集まっています。
素晴らしい絶景と美しいお城を眺めたいと思ったら、ぜひ犬山城へ足を運んでみてくださいね。