日本を代表する国際空港で、40年以上に渡って日本の空の玄関口として君臨し続けてきた千葉県成田市の成田空港。
その成田空港の第1滑走路の近くには、
- 飛行機にまつわる歴史を学べる「航空科学博物館」
- 滑走路から離着陸する飛行機を間近に見れる「ひこうきの丘」
があり、飛行機について学んだりできる他に、併設された「空と大地の歴史館」という博物館では成田闘争にまつわる歴史を学べます。
また第1滑走路の近くにあるので、離着陸の大迫力を間近で見れるので、飛行機好きにとってはたまらない場所です。
今回は、そんな成田航空科学博物館の見どころと、博物館周辺にある様々な見どころを一緒に紹介していきます。
バスで簡単にアクセスできる場所にあるので、ぜひこの機会に知ってみてください。
目次
航空科学博物館 アクセス紹介
航空科学博物館は、成田空港の第1滑走路の近くにあります。
山の中にあるから、車でないと行けないんじゃない?
と心配になるかもしれませんが、実はバスで簡単にアクセスが可能です。
航空科学博物館へは、JRの成田駅の2番バス停からJRバスに乗って行くことができます。
- 貨物管理ターミナル行き
- 八日市場駅行き
- 航空科学博物館行き
のいずれかのバスに乗車してください。
成田駅〜航空科学博物館の運賃は540円です(ICカード使用可能)。
子供:500円
航空科学博物館
1989年にオープンしたこちらの航空科学博物館。
ここは、
- 航空機の発展の歴史
- 航空機の機体の解説
- 成田空港についての解説
について知ることができる博物館です。
実物の飛行機や部品、飛行機の模型が展示されていて、飛行機の誕生から今日までの発展をわかりやすく紹介しています。
航空科学博物館の入場料と開館時間
こちらが、航空科学博物館の入口です。
入口の前に入場券売り場がありますので、入場券を買って入場しましょう。
入館料は、
中高生:300円
子供(4歳以上)200円
(ただし、8月は無休でオープン)
1階展示室
1階のこちらの展示室では、吹き抜けのスペースに飛行機のエンジンや機体の断面図など、普段中々見れない飛行機の裏側を見ることができます。
こちらがジェットエンジンと主翼の断面図です。
普段何気なく見ている飛行機ですが、エンジンの中には多くの部品が詰まっているんだというのに驚かされます。
こちらは、実際の機内を再現したセットです。
ファーストクラスからビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミーと並んでいて、全ての座席に直接腰掛けることができます。
多少座席が古くなっているのが残念ですが、座席の座り心地を比べてみましょう。
2階展示室
1階展示室にある階段を登って行くと、2階の展示室に到着しました。
ここでは、飛行機の誕生から現在までの飛行機の発展の歴史を、模型や映像によって学べるフロアです。
ライト兄弟が開発した人類最初の飛行機から、各国の戦闘機やセスナなどの模型が展示されていて、飛行機がどのようにして、現在の形に進化していったのかを時系列で紹介されています。
同じ2階にあるこちらの展示室では、成田空港のジオラマや空港で働く人、あるいは現在そして過去に成田空港に就航していた航空会社の紹介など、成田空港に関して紹介しています。
成田空港と周辺地域との関わりに関しても詳しく紹介されていました。
3階 屋外展望台
エレベーターで3階に登ったところにあるのが、こちらの屋外展望台です。
この展望台からは、成田空港の全景を一望することができ、しかも第1滑走路の目の前なので数々の飛行機の離着陸を間近で見学できます。
こちらが展望台から見た成田空港の全景です。
空港の周辺に高いビルが無いので、空が広く見えますね。
晴れた日には、写真のような一面の青空を眺めることもできます。
第1滑走路から飛行機が飛び立つ瞬間の写真です。
轟音と共に飛び立つ機体の真下も見れてしまうくらいの大迫力の写真が撮れますので、その瞬間を見逃さないようにしてください。
ただこの展望台、屋根がついていないので雨の日には傘をささなければなりません。
おまけに夏は日差しが強くて暑く、冬は風が吹いて寒くなるなど気候の影響を受けやすい過酷な環境となっています。
なので、天候が悪い時は次に紹介する5階の展望展示室へ足を運びましょう。
5階 屋内展望台
というわけで、5階にやって来ました。
博物館の5階は、円形状の展望展示室となっています。
快適な室内で、天候関係無く成田空港を見ることができるこちらの展示室。
空港の管制塔をイメージしたような造りになっていて、展望室にはこのように管制卓などが置かれていて、管制塔の仕組みについて学べます。
機械の目の前に座れば、ちょっとした管制官の気分です。
この展望室には椅子も設置されているので、座りながら快適に成田空港と離着陸する飛行機を見学できます。
天気の良い日には、奥の方に筑波山も見えるので必見です。
天候に影響されることが無い場所なので、時間さえあれば1日中飛行機を見学することも可能です。
次々と離陸して行く飛行機を見ていると、あっという間に時間が過ぎていきます。
ちなみに4階には、食事ができるレストランがありますので、時間のある人はここでランチを食べることも可能です。
屋外展示場
航空科学博物館の建物前の広場は屋外展示場となっていて、このように数多くのヘリコプターやセスナ機が展示されています。
日本で最初に開発された旅客機やプロペラ機もあり、普段中々近くで見れない飛行機を間近で見れるチャンスです。
こちらは、日本で最初に開発されたYSー11という旅客機です。
第2次大戦後に初めて日本のメーカーによって開発された旅客機で、1965年の運用開始から2006年頃まで日本だけでなく世界各国の航空会社で使用されてきました。
この他にも、今にも飛び出しそうなくらい保存状態の良いセスナ機やヘリコプターを見ることができます。
ちなみに、飛行機のほとんどは新聞社や海上保安庁、消防庁から寄贈された飛行機です。
飛行機の迫力を、この目で実感してみてください。
747セクション41
航空科学博物館の屋外展示室には、ジャンボジェットという愛称でお馴染みのB747の先端部分が展示されています。
普段は外観しか見学できませんが、平日は3回、土日祝は5回の時間帯で機内のツアーを行っています(500円)
これ以外にも、
- B747大型可動模型(1組で200円)
- DC-8フライト体験(100円)
という飛行機体験ができるイベントを開催しています。
参加には整理券が必要となりますので、希望する方は受付で整理券をもらうようにしましょう。
*イベントと開催時間の詳細はこちら
成田空港 空と歴史の博物館
航空科学博物館を見学し終わったら、その足で今度はこちらの空と大地の歴史館を見学しましょう。
奥の敷地にひっそりと建つこちらの博物館は、成田空港建設時のいわゆる「成田闘争」の歴史を紹介した博物館です。
成田空港開港前、政府が計画した新空港を建設するために三里塚の農村の土地を強制的に売り払ったことがきっかけとなって勃発した、いわゆる「成田闘争」にまつわる歴史を時系列で学べます。
あの時三里塚で一体何が起こったのかを当時の写真や貴重な資料と共に紹介する他に、どのようにして住民と成田空港は共存できるようになっていったのかという長い道のりを紹介するなど、未来の世代に伝えている役割も持っている博物館です。
ここは、入場料無料で開館時間は10時から17時(入場は16時30分)で、
- 月曜日
- 年末年始(12月29日〜1月3日)
は休館となります(航空科学博物館と同じ)。
館内は土足厳禁となっていますので、入口で靴を脱いで靴箱に入れてから見学しましょう。
空と大地の歴史館 展示内容
まず最初に目に入るのは、成田空港の建設が決まる前の三里塚についての紹介です。
三里塚は第2次大戦後、各地から多くの入植者によって開拓されてた土地で、苦労に苦労を重ねながら農業を行っていた事から、農民は大変貧しい生活を強いられていました。
また三里塚は、「日本で最初の競走馬生産牧場」と言われる下総御料牧場が1969年まであった場所としても有名で、イベントが開催されるなど地域住民に愛された牧場だったそうです。
現在御料牧場は、栃木県の高根沢町にあります。
しかし、日本政府によってこの場所に国際空港が建設されることが決まると、政府は農民の用地を買収する「代執行」を実行。
これに何としても自分の土地を奪われたく無い農民との間で、激しい争いが巻き起こることになりました。
ここでは代執行に至るまでの経緯や、必死に抵抗しようとしている農民の表情がよくわかる写真が展示されています。
闘争時に使用していたヘルメットや火炎瓶などが展示されていて、生々しい当時の様子が紹介されていました。
農民の抵抗も虚しく、着々と空港建設は進んでいくうちに反対活動はどんどんとエスカレートし、数々の死傷者を出してしまうまさに泥沼状態となります。
ここでは、当時使用された「空港粉砕」と書かれた同盟員への連絡用ドラム缶と、「緊急集会」と書かれた垂れ幕が展示されてました。
学生運動に参加していた集団も加わったせいで、成田闘争は互いに血を流し合う泥沼状態となり、多数の死者や負傷者を出すようになってしまいます。
こうして成田空港は1978年の3月に開港する予定でしたが、反対派によって管制塔を破壊されたことで開港は延期になります。
それから2ヶ月後の同年5月、ようやく成田空港(当時は新東京国際空港)は開港することになったのです。
ここでは、開港時の混乱や開港後の反対活動の様子が紹介されています。
スカイライナーが燃やされたり、火炎瓶によっての妨害活動など、開港後も前途多難な様子だった成田空港。
2015年の3月まで、来場者に検問をしていたのは有名な話です。
その後、国とは和解が成立。
現在でも敷地内には反対派の土地が残ってますが、空港の発展とともに反対運動は下火になっていきます。
この博物館では、地域と成田空港がどのように共存していくようになったのかもわかりやすく紹介されていました。
40年も前の話なので、成田でこんなことがあったのを知らない若い人も多いかもしれません。
しかし、成田空港の歴史を知る意味でも重要な博物館ですので、成田空港の歴史を学びたいならぜひ航空科学博物館と一緒に訪れてみましょう。
航空科学博物館 周辺にある見所
航空科学博物館の周辺には、ちょっとした見所が多く点在しています。
見学後時間がありましたら、そちらにも訪れてみることをおすすめしたいので、今回ここに紹介することにしました。
今回紹介する見所は、
- 日本山妙本寺成田道場
- 岩山鉄塔
- ひこうきの丘
の3ヶ所です。
全て航空科学博物館から徒歩15分圏内の場所にありますので、散歩がてら訪れてみましょう。
日本山妙本寺成田道場
航空宇宙博物館バス停の隣の場所に立つ、こちらの立派な仏塔は、「日本山妙本寺」という名前の寺院です。
「日蓮聖人門下連合会」という日蓮宗聖人門下の11伝統教団のうちの1つである日本山妙本寺の仏舎利塔で、
「平和に暮らすこと、争いをしないこと」
を信条としています。
かつてこの場所は血と涙が流れていた場所ということも相まって、ここに建築されたのでしょうか?
それほど大きい塔ではありませんが、見るだけでなんだか心が洗われていくような気がしました。
これからも、成田空港の安全を見届けてくれることでしょう。
岩山鉄塔
航空化学博物館の近くには、「岩山鉄塔」という半分に折れた鉄塔があります。
ここは成田闘争の際に、A滑走路に離着陸する飛行機を妨害する意味で反対派が建てた塔です。
闘争当時は、約60mくらいある巨大な塔だった岩山鉄塔。
開港前には、この場所で反対派と機動隊の激しい闘争が行われ、その結果鉄塔は半分に壊されて現在まで至ります。
今では、あんな激しい闘争があったなんて信じられないくらい静かで自然にあふれる場所。
あれから40年以上経過しますが、闘争の激しさを生々しく伝える遺産として現在でも残されています。
鉄塔と向き合う形で成田空港の第1滑走路があり、飛行機の大迫力の離着陸シーンを目の前で見かけることができるようになってます。
それにしても、鉄塔なんか作って飛行機の離着陸を妨害できると、当時の活動家は本気で思っていたのでしょうか?
当時の反対派の、ヤバイ発想の面影を知ることができます。
岩山鉄塔については先程紹介した、空と大地の歴史館に闘争当時の写真が展示されてますので、そちらも参考にしてみてください。
ひこうきの丘
飛行機好きにとっては旅客機の撮影スポットとして有名な公園です。
週末には家族連れで飛行機を見に訪れる人や、大きなカメラ機材を用意して飛行機を撮影する人などで大賑わいのひこうきの丘。
飛行機をかなり近い距離で撮影することができます。
そしてこちらが、ハートモニュメントです。
銀色をしていて、上に鐘が吊るされているこちらのモニュメント。
上手に撮影すれば、ハートの中に飛行機が入っている素敵な写真が撮れますので、チャレンジしてみましょう。
ちなみに、ハート型モニュメントの前にある広場もハートの形をしています。
このように、上空から見るとハートの形をしています。
飛行機好きな人には必見の場所なので、時間があったらぜひ訪れてみましょう。