インドネシアの首都ジャカルタには、ジャカルタ市民の足として利用されている近郊電車が走っていて、料金が安く便利で使い勝手の良い交通手段として使用されています。
そして使用している電車はかつて日本の関東地区で使用されていた車両なので、日本人(特に関東在住)の方にとっては何だか懐かしくそして嬉しい気分になる鉄道です。
そんなジャカルタの電車ですが、
乗るのが難しそう!
と思っている方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな悩みを解消するために、ジャカルタの近郊電車の詳細と乗り方について詳しく解説します。
目次
ジャカルタ近郊電車の概要
ジャカルタの交通手段として愛されている近郊電車は、KRLコミューターラインと呼ばれ、現在全7路線6系統が運行されています。
ジャカルタの中心街を起点にして、東はブカシ市、西はタンゲラン、そして南はボゴールまでを結んでいて、使いこなせば観光や移動に便利です。
インドネシアには1954年頃から電車が走っていた様ですが、70年代から現在の近郊電車の整備が計画されるようになり、2008年に現在のKCJという運営会社によって運行されはじめて、現在に至ります。
2010年頃になると、日本のJR東日本や東京メトロから中古の車両を輸入し、現在ではかつて日本を走っていた電車が見られるとして日本でも有名になりました。
そんなジャカルタの近郊電車ですが、一体どんな電車なのでしょうか?
ジャカルタ 近郊電車の料金
こちらが、大まかですが近郊電車の料金表です。
はっきり言いますが、安すぎます!!
日本と比較しても仕方のないことですが、初乗り運賃が何と驚きの3,000ルビア(約28円)、ジャカルタ市内のコタ駅から1番距離が離れている(所要時間約1時間半)ボゴールまでの運賃を見ると、6,000ルピア(約55円)と信じられない安さでした。
こんなんで経営できるんかい!
と日本の感覚で思わずツッコんでしまうなど、余計な心配をしてしまいますが、これだけの安い金額で移動できるのは観光にはかなりのメリットです。
ジャカルタは、世界でも有数の渋滞都市ですが、電車に乗って移動すれば渋滞を回避できます。
ジャカルタ 近郊電車の乗り方
続いて、ジャカルタ近郊電車の乗り方について解説していきましょう。
最初にお伝えしますが、ジャカルタの公共交通機関は現金で切符を購入して乗車するシステムではありません。
各銀行で発行しているプリペイドカードにお金をチャージして使用するやり方に変わっており、外国人が使用できるカードはBCA銀行という銀行が発行するもののみとなっています。
これはDKI銀行のカードですが、ジャカルタではこの様に公共交通機関ではプリペイドカードに現金をチャージして使用するのが当たり前になりました。
なので電車に乗る時は、銀行に行って所定の手続きをしてカードを発行しなければならないなど、少し外国人にはハードルが高いジャカルタの公共交通機関。
ただカードさえ持っていれば楽に移動できますので、ジャカルタに到着したら必ずカードを1枚作成するようにしましょう。
プリペイドカードのチャージ方法
プリペイドカードは、市内のコンビニで最低500,00ルピア(約470円)からチャージ可能でした。
これに関しては、SUICAやPASMOなど日本のICカードとやり方は変わりません。
カードを出して、必要な金額を払えばチャージしてくれます。
トランスジャカルタの自販機は、インドネシア語のみで英語がないので、外国人旅行者には使い方が難しいのが難点となってます。
基本的に使用するのは、画面1番左のカードの残り残額と、左から2番目にあるチャージ機能のみです。
チャージをする際は、左下にカードを置く場所があるので、そこにカードを置いてチャージしたい金額を押してお金を払えばチャージが完了します。
ちなみに駅構内には、この様な巨大な機械の自販機がありました。
日本と比較するとかなり大きいです。
こんな機械が今の時代にあるとは驚きと言えますね。
改札口の通り方
こちらが改札口です。
改札の入口の四角い場所に、カードを置けばデータがスキャンされて、ゲートが通れます。
バーは自分で押して開く仕組みです。
ただ、時々エラーになることもしばしば。
ICカードの種類が多くあってシステムが統一されていない影響や、機械が正確性に欠けることで、何回か使用している人でもエラーになります。
だから改札口には、常に係員がいて対応に追われています。
液晶には、チャージされた料金や残り金額も表示されますので、金額が少なくなったら駅やコンビニでチャージをしましょう。
ジャカルタ近郊電車 電車の乗り降りの方法
続いて、ジャカルタ近郊電車の乗り降りの方法について紹介します。
電車の乗り方は、日本と全く同じでそんなに難しくありません。
ホームにあるこちらの行き先案内板を見て、次に何時に電車が来るのかを確認しましょう。
やがて、学校のチャイムのような音楽が流れると電車がホームに走りこんできます。
そして電車に乗りますが、混雑時は「降りる人が先」という日本で当たり前のルールは必ずしもインドネシアでは常識ではありません。
無理やり乗り降りする人もいますので、混雑時には負けずに乗車しましょう。
車内の様子
こちらが、近郊電車の車内です。
お洒落な座席カバーを使用していますが、内装は日本の昔の通勤電車と同じでした。
写真の電車はかつて武蔵野線で使用されていた電車なので、沿線に住んでいる方はなんだか懐かしい気分になるでしょう。
またかつてJR東日本で使用されていた、混雑緩和のための6ドア車両も、ジャカルタでは現役でした。
ドアの上には、かつて東京メトロで使用されていた次の駅を知らせる電光掲示板もそのまま残っていました。
ただし、一切使用されず放置されたままです。
電車を降りる
目的地の駅に近づいたら電車を降りる準備をして、到着したら電車を降ります。
路線によってはかなりの段差がある場合がありますので、足元に気をつけて降りるようにしましょう。
一部の駅ですが、ホームにはこのように向こう側のホームに渡るための設備があります。
ここには常に係員が立っていますので、指示に従い安全に渡りましょう。
人口が急増しているジャカルタなので、朝夕のラッシュアワーの混雑はかなりのものです。
ラッシュアワー時には大混雑になりますので、駅係員の誘導する声が止むことはありません。
混雑を避けるなら、朝と夕方の時間を避けるのがおすすめです。
ジャカルタ近郊電車 驚きの光景8選
ジャカルタの近郊電車には、
えっなんで!??
と、驚きの光景を多く発見できました。
その中でも特に驚くような発見を、ここに8つほど紹介していきます。
①駅のマッサージ機
ジャカルタ近郊電車の一部の駅には、このようなマッサージ機が設置されていました。
料金表はこちら。
一番安い10分で約90円という破格の安さで、20分で180円、50分で430円、100分で860円とかなりお得な料金で気軽にマッサージを堪能できます。
疲れた時にこれは正直ありがたいです。
しかし素朴な疑問なのですが、10分〜20分はともかく、50分や100分もわざわざマッサージチェアに座り続ける人っているんでしょうか?
気持ち良いとは思うんですが、もみ返しが起こったり逆に飽きてきて逆効果になると思いました。
なお、マッサージチェアは改札を通過したところにあるので、電車に乗らないと使うことができません。
②携帯充電スペース
駅のホームには、携帯の充電スペースが設けられていて、若者が充電しながら地べたに腰掛けながら連れと談笑する姿が見られました。
インドネシアでは、場所に関係なく地べたに座る光景をよく見ます。
ただ、長時間充電する人が多いので、なかなか充電するタイミングがないのが難点ではありますね。
それなりに大きい駅には、日本で言う「駅ナカ」のコンビニがあって、若者はここで夕食を食べて駅の中で食べるという人も多いようです。
③プレイヤー(preyerルーム)
インドネシアは、世界で3番目にイスラム教徒が多いとされている国としても知られています。
そんなイスラム教徒のために、各駅にはお祈りをするためのスペースが設置されてました。
こちらは男女別に分かれています。
お祈りの場所は土足厳禁なので靴置き場と、足を洗うための水道も設置されていました。
いかにもインドネシアらしい光景と言えますね。
ホームの野良猫
ジャカルタの近郊電車のホームには、時々このように野良猫が迷い込んでいます。
ジャカルタの街にはたくさん野良猫がいて、路上だけでなく商店の前や博物館の中庭など、あらゆるところで見かけるのでネコ好きにはたまらない街です。
駅のホームでもそれは同じで、ホームが地上駅の場合わがモノ顔で猫がウロウロしています。
大都会でこのような光景が見れる国はなかなかないと思うので、なんともほっこりする光景です。
⑤ホームが無いのに突然開く扉
ジャカルタ北部にあるカンプン・バンダン駅は、駅のホームが短いことから、一部の車両はホームがないところに停車します。
日本の場合、ホームがないところの扉は開きません。
しかしインドネシアは、ホームがないにも関わらずドアが普通に空いたのです。
なので、駅に到着した時は必ずドアから離れないようにしましょう。
はっきりいって、いらん親切です。
⑥先頭と後方車両は女性専用車両
ある日先頭車両に乗っていたら、セキリュティの人に、「隣の車両に移動しなさい!」と急に言われました。
一体なんだろうと思ってその車両を見たら、車両に乗っている車両は全員女性。
実は近郊電車の先頭と後方車両は、女性車両だったのです。
外に何もそんな注意書きが書かれていなかったので、知らずに乗ってしまうと恥をかいてしまうので注意しましょう。
終日女性車両となっていることから、様々な理由でジャカルタには変質者が多いということでしょうか?
⑦線路の横に人が住んでいる
水色のラインのチカラング線のアンケ駅周辺は、スラム街の様な場所を通ります。
何と驚くことに、線路の真横に家が立っていて、家族数人で普通に暮らしている光景がありました。
このような光景は当たり前の感じなので、感覚が狂ってきます。
線路のすぐ真横には、その家で使用しているバイクが置かれていたり、洗濯物がそのまま干されています。
不法占拠だとは思いますが、ジャカルタの人口が増えすぎたためにこの様なことになってしまったのかもしれません。
電車が通ってない時は、近隣住民が普通に線路を歩いていて、子供達が我が物顔で遊んでいました。
線路内を走り回ったり、爆竹で遊んだりなど、かなりの無法地帯です。
極め付きは、こんな間近で電車が見られてしまいます。
電車はクラクションを鳴らしまくって通行しますが、かなりの迫力で通過していきました。
今まで大きな事故は起こったことがないのでしょうか?
電車が近くと、住民は一斉に避難していきますので、線路の上にいる場合は安全な場所に避難する様にしましょう。
⑧隣の駅との距離が近すぎる
こちらは、BNICITY駅という駅のプラットホームから写した写真です。
なんとすぐ隣に、次の駅がありました。
日本だったらありえないくらいの距離にある隣駅。
試しに出発から到着までを測って見たら、なんと45秒。
1分もしないうちに到着してしまいました。
スカルノハッタ空港行き電車が停車するBNICITY駅は、2019年に空港連絡鉄道の開通とともにできた駅で、かつ近郊電車と同じ線路を使用していることから、同時に停車駅となってしまいました。
数百メートルのところに、
- karet
- BNI City
- sudirman
と3つの駅が隣接している、何とも奇妙な光景が見られます。
⑨ホームの高さと電車の高さがあっていない
ジャカルタのターミナル駅として知られるコタ駅は、駅のホームの高さと電車の高さが一致していないので、このような段差が設けられていました。
よって、足が不自由な人にとっては電車に乗るのが大変な造りです。
一部ホームはなぜか低くなっていて、このような感じになっていました。
ドアの横には取手のようなものがあって、これを使って登るように車内に乗ります。
ジャカルタでは、電車に乗るのも一苦労です。
さらには、線路の上から乗車できるようにこのような段差が設置されていました。
日本ではこんな状態から電車に乗ることはほぼありませんので、ジャカルタに行ったらぜひ車両を登るように乗車してみましょう。
ジャカルタ近郊電車 車両紹介
最後に簡単ではありますが、ジャカルタの近郊電車の車両について紹介していきましょう。
まずはこちらの車両です。
これは東京メトロの千代田線、もしくは半蔵門線で使用された電車もありました。
独特のドアの形をしていて、沿線に暮らしていたりして利用していた方にはなんとも懐かしい気分になれます。
車体の色は全て、ジャカルタ近郊電車のイメージカラーである赤色に塗り替えられています。
こちら電車は、かつて東京や埼玉、千葉を走るJR武蔵野線で使用されていました。
こちらの電車は、かなり数が多くてジャカルタで重宝されていました。
何となく遠目で見ると、武蔵野線に見えますね。
こちらは、かつて東京メトロ東西線で使用されていた電車です。
今は違いますが、まだジャカルタに来た頃は行き先表示がまだ日本語使用のままの電車も多く「東葉勝田台」や「西船橋」といった表示も多く見受けられました。
ジャカルタにいるのに、
いきなり千葉県にワープするの?
と思わず仰天した日本人はどれだけいたでしょうか?
こちらも以前、東京メトロ東西線で使用されていた車両です。
先程紹介した車両より古い車両ですが、変わらず現役で活躍していました。
このように、ジャカルタには懐かしい日本の近郊型電車が活躍しています。
ジャカルタ観光に便利ですので、ぜひ有効に活用してみましょう!
まとめ
今回は、インドネシアの首都のジャカルタを走る近郊電車の乗り方や車両、日本とは違う驚くべき部分などを解説してきました。
ジャカルタの近郊電車には、かつてJRや東京メトロで使用されていた中古車両が使用されていますので、日本人からすると懐かしい気分になること間違いなしです。
また無数のゴミの中を走ったり、ホームと電車の高さが異なることから登って電車に乗るなど、ジャカルタ近郊電車では日本で味わえない体験ができます。
運賃も安く利用しやすいので、ジャカルタ観光の際にはぜひご活用してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。