静岡市の中心部には、広大なお堀に囲まれた駿府城公園という公園があります。
この場所には、かつて江戸時代に徳川家康の手によって駿府城が築城され、徳川幕府によって駿府(現在の静岡市)は政治経済の中心地として栄えたという歴史があるのです。
現在は市民の憩いの場として整備された駿府城公園。
駿府城自体は焼失して無くなってしまいましたが、公園内には駿府城があった頃の櫓が当時と同じように復元されて、一般公開されています。
今回この記事は、
- 東御門と巽櫓(ひがしごもんとたつみやぐら)
- 坤櫓(ひつじさるやぐら)
- 駿府城天守台跡
といった駿府城にまつわる3ヶ所の見所を紹介していきます。
この記事を読めば、
- 駿府城がどれだけ凄いところだったのか
- 駿府城の櫓ってどんなものなのか
というのが一目でわかるので必見です。
今回この記事を書いている私松井ひろたかは、
・静岡に住んで35年
公園の魅力が、すぐに理解できますよ!
駿府城公園の簡単な歴史

駿府城が完成したことは静岡市の発展において重要な意味があり、家康がこの地を気に入ったことで駿府の街割や安倍川の治水事業が整備された事が、現在の静岡市の住みやすさに繋がっているとも言えます。
天守閣はそのまま再建されることはなく石垣だけが残り、城下の建物はそのままで幕末の時代まで城主が置かれている状態になりました。
やがて跡地は陸軍省に献納され、第二次大戦後まで駐屯地として使用されるようになりました。
戦後には空襲で焼失した近隣の学校の仮校舎が建てられたりしましたが、1949年に駿府城跡地は静岡市に払い下げられ、公園として再開発が始まるようになります。
こうして公園が1951年に完成。
一般公募によって「駿府公園」と命名され、現在に至ります。

2012年までは「駿府公園」という名前でしたが、この年以降「駿府城公園」と名称が変わりました。
長年駿府公園として親しんできたので、駿府城公園という名前に違和感を感じてます(笑)
その後公園内には、成人式など数多くのイベントが開催された駿府会館(1976年閉鎖)や、子供達に科学の楽しさを教える児童会館(2003年閉鎖)、その他に軟式野球場やテニスコートといった施設(現在は閉鎖)ができて、市民の憩いの場として愛されています。
静岡市で開催される大規模イベントの会場としても親しまれ、
- 静岡まつり(毎年4月開催)
- 大道芸ワールドカップ(毎年11月開催)
- ふじのくに世界演劇祭(毎年5月開催)
といったイベントが行われています。

かつては毎年夏に「フェスタしずおか」というイベントも開催されていて、数々の大物歌手がここでライブをやりました。(2017年、19年に復活)
2019年には、ラグビーW杯のパブリックビューイングの会場としても使用されています。
また公園内には、紅葉山庭園という美しい庭園があります。
入場料は150円と安く、園内では静岡産のお茶とお茶菓子(有料)を頂くこともできる庭園です。
静かで癒される庭園なので、時間のある方は是非訪れてみてください!
駿府城公園 アクセスの紹介
駿府城公園は、静岡市の中心部に位置しているので、駅からのアクセスが容易です。
JR静岡駅から徒歩15分、静岡鉄道の新静岡駅から徒歩7分で到着します。
歩きたくないという方は、JR静岡駅のバス乗り場からしずてつジャストラインのバスに乗車。
「県庁・静岡市役所・葵区役所前」で下車してください。
そこから静岡県庁の本庁の建物の裏側に回れば、駿府城公園の入口です。
たくさんの路線が結んでいるので、すぐに乗車できます。
駿府城公園復元施設① 東御門について
最初に紹介するのが、東御門。
こちらは1996年に復元されました。
東御門は、駿府城の二の丸の東に位置する多聞櫓で構成された升形門という種類の門です。
門の要所要所に石落としや鉄砲狭間や矢狭間を見ることができ、かなり守りの硬い門であったことを伺えます。
江戸時代は、二の丸の主要な出入口として重要な役割を担っていました。
こちらの門は、1638年に建てられた当時のままで復元されて、瓦や壁に至るまで様々な資料を参考にして忠実に復元されたものです。
木造の橋も綺麗に架けられていますね。
静岡市民の間では、静岡まつりのメインイベントで、大名に扮した人達が市内をパレードする「大御所花見行列」のスタート地点としても知られてます。
東御門の内部では、駿府城の歴史を学べる貴重な展示物を見ることができるのです。
それでは、早速中を見て行きましょう!
駿府城東御門 展示コーナーの紹介
東御門の入場口はこちらです。
入場券を購入後、石段を上がって上段部から入ります。
土足厳禁なので、履き物は入口で脱いでください。
東御門は2021年4月に展示物が大幅にリニューアルされ、駿府城の歴史を今川氏が駿府を支配していた頃から江戸幕府の象徴として栄えた時代まで5つのゾーンに分けて紹介しています。
このような駿府城があった頃の二の丸を再現した模型や、掛け軸を多く使用していて、誰にでも駿府城の歴史と魅力がわかるような工夫が満載になってました。
体験コーナーもあり、遊びながら駿府城の秘密を学ぶ事ができます。
このような感じで、駿府城に関する資料や公園内で発掘された城にまつわる遺跡を展示してありました。
壁には、駿府城の歴史をわかりやすく時系列で紹介しています。
駿府城の屋根にあった実物大の鯱鉾も展示してありました。
この鯱鉾は、静岡市の指定文化財にも指定されています。
駿府城の当時の様子を示した資料や、公園内で発掘された駿府城で使用されてたであろう貴重な鬼瓦や金箔瓦も、このように展示されています。
説明書きも、掛け軸を使用して綺麗でわかりやすく表記されていました。
駿府城公園では、2016年頃から20年春までの4年間の間、天守があった場所を中心に大規模な発掘作業が行われて、その際数々の遺構が地面から発掘されました。
これまで、駿府城はどんな城だったのか?というのが謎に包まれていた部分が多く、今回の発掘作業によって新たなことも多くわかってきたみたいです。
駿府城の歴史は、ほぼ全てこの東御門内で学ぶことができてしまうので、日本史好きな人は見逃さないようにしましょう。
駿府城公園復元施設② 巽櫓(たつみやぐら)について
続いて、巽櫓を紹介します。
こちらは1989年に再建された、三層二重の隅櫓で、L字型に建てられている日本でも珍しい構造の櫓です。
江戸時代は干支で方角を示していて、櫓が辰巳の方角に位置していたことから、巽櫓と名付けられました。
この巽櫓の中もいくつか展示物があるので、こちらも見逃さずに見学して行きましょう。
東御門とは渡り廊下でつながっていて、そこを歩いて巽櫓の中に入ります。
駿府城巽櫓 展示コーナーの紹介
巽櫓は2階建で、両フロアとも見学が可能です。
1階には明治時代から現在に至るまでの、駿府城公園の歴史が貴重な資料や写真と共に紹介されていました。
廃城となり陸軍のものになった明治の時代から、どのように都市公園となって発展していくのかという過程を知ることができます。
数ある写真には、
- 児童会館
- 駿府会館
の写真も展示してありました。
一定の世代の静岡市民には懐かしい写真がたくさんあり、正直地元の人でないとピンとこない写真ではありましたが、昔の静岡市の雰囲気がよくわかる写真です。
駿府城公園のことを知らない人にもわかるように展示してありますので、静岡市外から来られた方でも十分楽しめますよ。
2階には、広い畳の間になっています。
江戸時代には戦闘の拠点として巽櫓は主に使用され、武器を保管する場所としても利用されていたのです。
現在ここでは、駿府城の発掘現場の模型や2023年に巽櫓の前に完成予定の、歴史博物館についての説明が展示してあります。
その2階の一角には、小さな畳の間がありました。
ここは、竹千代(徳川家康の幼年期の名前)が今川義元の人質だった時代に、静岡市内にある臨済寺に預けられていた時の勉強部屋を再現したもので、「竹千代手習いの間」と呼ばれています。
天井には、迫力満点の竜の絵が描かれていました。
京都の相国寺のように、手を叩いても反響しないのでそのつもりで(笑)
駿府城公園復元施設③ 坤櫓(ひつじさるやぐら)
続いて紹介するのが、2014年に再建された木造3階建ての建物、坤櫓です。
坤という名前は、櫓が建てられた場所が城の南西を位置していて、その方位を干支で例えると
南=羊
西=猿
という事から、坤(ひつじさる)という名称がつけられたとの事です。
江戸時代には、巽櫓と同様に攻撃の拠点としての役割を果たす建物でもありました。
坤櫓は静岡市立病院の向かい側にあります。
外見は殺風景な感じに見えますが、れっきとした復元された建物です。
様々な資料を利用して、伝統的な技術を使用して限りなく当時に近い形で復元されています。
櫓の中には、その時に使用した資料や、復元工事の道のりが写真などで展示されていました。
こちらが坤櫓の中です。
床がスケルトンになっていて、櫓の床下がどうなっているのかを直接見る事ができるようになっています。

床下が見れるのは、坤櫓だけです。
坤櫓は3階建てということにはなっていますが、現在このように2階、3階は吹き抜け状態になっていて、上階には上がれなくなっていました。
櫓にいたスタッフの方の話によると、建築基準法に引っかかってしまうので、上に上がれないとの事です。
展示スペースは1階だけとなっていますが、復元工事の貴重な記録が多く展示されていますので、訪れる価値はあります。
駿府城公園 駿府城天守台跡
かつて駿府城の本丸があった場所は、2016年から駿府城の跡地の整備方針を決める際に、城の正確な位置と大きさなどの詳細を確かめてみることを決定し、大規模な発掘調査が行われるようになりました。
2016年から2020年の4月までの4年間に渡って大規模な調査は行われ、上の写真のように地面を掘り起こしたら、駿府城で使用していた鬼瓦や天守台、小天守台の石垣、井戸が次々と発見されたのです。
これによって、駿府城の全容が以前よりも明確にわかるようになったのです。
この場所は,50年前には駿府会館という巨大アリーナが建っていて、閉鎖後にはイベントで数々の露店が出店していた場所でもありました。
発掘調査のおかげで、公園の敷地が狭くなってしまったのが個人的には悲しかったですが。
発掘現場の周囲は遊歩道になっていて、発掘現場を無料で見学する事ができます。
駿府城の発掘作業についての詳細を知りたいのであれば、発掘現場内にあるこちらのプレハブの建物に行きましょう。
ここは、「発掘情報館きゃっしゃる」という施設で、発掘された瓦や発掘作業の詳細を紹介しています。(入場は無料)
将来的には、この発掘現場を博物館風の歴史公園にする計画があるみたいです。
歴史博物館の開業も楽しみですが、発掘現場の再開発もどうなるかが楽しみですね。
駿府城公園 営業時間と入場料について
今回紹介した施設の営業時間は、
午前9時から午後16時30分まで(最終入場は16時まで)。
月曜日が休館日(祝日の場合が営業で、翌火曜日が休み)となっています。
各施設の入場料はこちらです。
大人 | 子供(小中学生) | |
東御門、巽櫓 | 200円 | 50円 |
坤櫓 | 100円 | 50円 |
3館共通入場券 | 360円 | 120円 |
3館共通入場券とは、この記事で紹介した施設+紅葉山庭園を全て見学したい人におすすめのチケットです。
紅葉山庭園の入場料が150円なので、バラバラに買うと450円。
なので共通入場券を購入すれば通常より100円お得に入場する事が可能になるのでおすすめです。
まとめ
今回は、静岡市中心部の駿府城公園にある櫓や駿府城の発掘作業現場といった見所を紹介していきました。
日本史が好きな人や、徳川家康のことを知りたい人にとっては、興味をそそられること間違いなしの公園です。
静岡駅からも近いところに位置しているので、アクセスも便利な公園なので、静岡市を訪れる機会がありましたら是非訪れてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
静岡を訪れる際はぜひこちらを。